京都地学名所めぐり

亀岡市本梅町の半国山の流紋岩と凝灰岩

石が語る巨大噴火の謎

静かな田園地帯が広がる亀岡市本梅町。この地域は北に瑠璃渓、南に湯の花温泉に隣接します。瑠璃渓は流紋岩や溶結凝灰岩、花こう岩を産出し、湯の花温泉花こう岩が貫入して堆積岩に接触変成が起こった地域で、火山と密接に関係しています。その本梅町の赤熊に半国山というかつての大噴火の痕跡を見ることができる山があります。


なんの変哲もないごく普通の山の風景です。中央の谷の奥に半国山はあります。山頂は左側の山に隠れて見えてみません。
このなんでもない山から流れ出る小川で、大昔の大噴火を語ってくれる石たちに出会うことができます


美しい渓谷です。ここにある石たちをよく観察してみましょう。


まずはこれ、なんだと思います。左下から右上の方向に向かって黒く細長い物が見えますね。
この石は溶結凝灰岩といって、火砕流によってできたものなのです。火砕流というのは火山が噴火して出てくる高温のガス火山灰、軽石などが混ざったもので、ふもとに流れてきて草木を焼き尽くしてしまう恐ろしい現象です。この溶結凝灰岩はどうやってできたのかというと、火砕流によって流れてきた火山灰や軽石が降り積もったとき、まだ熱を持っているときに上からの重みで圧縮されたものです。もともと白かった軽石が押しつぶされてこのような黒くて細長い(専門家はレンズ状とよく言いますがそうは見えませんねぇ)溶結ガラスができました。


これも溶結凝灰岩です。しかしさっきのとは少々様子が違いますね。
よく見ると溶結ガラスもあるのですが、四角い角をもつ黒いものが見られます。よく観察するとそれらは海の底で降り積もってできた堆積岩であるチャートなのです。そんな石がどうして火山から噴火してきたのでしょうか?謎は深まるばかりです。
実はこのチャートはこの火山の下にもともとあった岩石なのです。このチャートの層の上に火山が造られたわけです。噴火の際に火山体の下にあったチャートがマグマやガスと一緒に噴出したというわけです。なにしろ勢いよく爆発的に噴出していますから、チャートは割れて角ばっています。このような凝灰岩を角礫凝灰岩と呼んでいます。このように溶結凝灰岩のような大きな岩石に含まれる粒(ただし粒径2mm以上)を礫(れき)といいます。特にこの写真の礫は角ばっていますから角礫とよんで、丸みをおびた円礫と区別しています。


これはチャートが多いです。ほとんどチャートと言った感じです。これも噴火によって出てきた凝灰岩です。


これは流紋岩という火山岩です。噴火して地表に出た溶岩が流れたときにできる模様があるため、そう呼ばれています。写真を良く見ると層の間に白く小さな粒が見られます。これは長石で、噴火する前に火山の下にあったマグマだまりというマグマがしばらく休んでいたところでできた鉱物です。


球か流紋岩といって流紋岩の中でも中に丸い豆粒のようなものが見えます。

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